設立趣意書より

県内全域が豪雪地帯である本県にとって、降雪がもたらす県民生活への影響を軽減するための「雪対策」は、科学技術の進歩した今日でも、未だ解決されない有史以来の重要な課題となっています。

本県をとりまく近未来の環境を俯瞰してみると、人口の過疎化と高齢化、自然環境の保全、雪国のハンディキャップ等はまさしく地域が直面する喫緊の課題であり、地域の実情やニーズを踏まえたきめ細かな対応が求められています。これまでも地域の雪対策として、雪国各地で具体的な試みがなされていますが、未だ確立した技術や手法を手に入れるまでには至っておりません。

こうした雪の課題に産・学・官・民が連携し、住民と協働して積極的に取り組むことによって、地域に適した先駆的な技術とシステムが確立されていくならば、つらく厳しい雪国生活の様相を一変させることが期待されます。過疎化、高齢化への対応など、本県地域がいち早く突入する社会的状況を踏まえた先進的な雪対策の取り組みや技術開発を重点的、且つ、戦略的に展開することによって、総合的な雪対策のパイオニア的存在となり、快適な雪国地域の創造に寄与することができると考えます。

豊かな自然の恵みは、ときに優しく、ときに厳しくそこに生活するものたちを育んできました。本県は、故松岡俊三代議士の雪害救済運動などの先人の活躍により、「雪対策施策発祥の地」として全国的な評価を受けているほか、各地域には雪に親しみ、雪と闘い、雪を利するさまざまな先人の知恵が残されています。まさに、雪対策の「メッカ」として発展する下地が整っている地域でもあります。したがって、地域の産学官民の力を結集して、広範な研究プロジェクトがさまざまな場面で展開されていく状況を作り出していくこと、そしてそれらの成果を発信していくことが大切と考えます。

私たちは、今こそ県民一人一人の英知と地域の潜在能力を引き出しながら、本県地域における雪対策の新しいうねりを起こす仕組みづくりを進めていきたいと思います。最初に、地域の産業界、大学、行政などセクターを越えた人的なネットワークづくり(出会いの場)を行います。産・学・官・民の連携を契機にして、さまざまな交流の輪となり、やがて克雪技術の研究などの特定の目的を持ったグループが息吹となり、それが形となった成果を発表し、普及、啓発を行っていくことを目指します。すなわち、雪関連の人材ネットワークを基盤にしながら、快適な雪国生活をしていくための雪対策の情報発信基地となるものです。

私たちは、これを「やまがたゆきみらい推進機構」として設立します。
 


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