「雪冷熱エネルギーの利活用について」〜環境負荷の低減に向けて〜をテーマにした標記シンポジウムが、平成21年7月28日(火)の午後1時30分から、村山総合支庁北庁舎の講堂で約70名が参加して行われた。
1.基調講演
新潟県上越市安塚区の財団法人雪だるま財団のチーフスノーマンで工学博士の伊藤親臣(いとうよしおみ)氏が「雪冷熱エネルギーの利活用について」〜約束の"雪"と如何につきあうか〜と題して基調講演を行った。
雪だるま財団の地元である、安塚小学校と安塚中学校では雪冷房を導入しており、雪山から雪を補充したり、太陽光発電も併せて導入したりして、雪を身近な環境学習の素材として活かしている事例が紹介された。
また、民間レベルでも、氷温技術を導入した雪室でよりおいしい米として有利販売に結び付けている米穀商の事例や、一般住宅に雪室、雪冷房を設置している工務店の事例なども紹介された。
2.事例発表
米沢市の精英堂印刷株式会社常務取締役企画部長の井上吉昭氏が「環境と品質への取組み」と題して、同社が取り組む「水なし印刷」により、より美しい画像表現を図るとともに、印刷によるフィルム等の廃棄物や廃液を大幅に減らしている取組みや、社屋に雪冷房を導入するまでの苦労話など、品質の向上と環境にやさしいシステムの両立に取り組んでいる状況を紹介した。
また、山形大学大学院修士課程2年の芹澤尚宜氏からは「大地の浄化効果を兼ねた穴開き暗渠管による雪氷冷熱採取と除湿」、同じく山形大学大学院修士課程2年の中村亮氏からは「雪山冷房システムにおける融雪水の有効利用」と題して、それぞれ研究の成果が発表された。
3.意見交換
基調講演と事例発表終了後、質疑応答と意見交換の時間が設けられた。
会場の参加者からは多くの質問や意見が出され、雪の利活用に高い関心があることがうかがえた。